御坊・日高・有田・田辺エリアの出来事や行事を毎週金曜日に更新。創刊22周年を迎えた地域情報紙のオンライン版です。

和歌山県の港町と海を背景に、赤い鳥居が青空に映える写真。深い青と明るい朱色のコントラストで、地域の力強さを表現しています。
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地域密着、22年目の情報誌

「ツー・ワン紀州」は、和歌山県南部の有田地方・日高地方の3市9町を対象エリアとする週刊地域情報紙です。最大発行部数40,578部、対象人口約16万1,000人に向けて、行政・教育・文化・スポーツなど幅広い地域の話題を掲載しています。

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畳かれた新聞紙を斜めから捉えた写真。白い紙の質感と赤い帯が、静かな書斎のような落ち着いた空気感を伝えています。

御坊の海が育む白いキス、滋味深い名店

御坊市の前面に広がる紀州水道は、穏やかな潮流と砂質の海底が広がる好漁場として古くから知られてきた。春から初夏、そして秋にかけては「白キス」と呼ばれるシロギスの群れが岸近くまで接岸し、朝市の活気を一気に押し上げる。この魚は淡白で上品な白身が特徴であり、地元では塩焼き、天ぷら、寿司種、吸い物など幅広い調理法で楽しまれてきた。鮮度が味に直結する魚であるからこそ、御坊では「朝のうちに揚がったものを、昼には握る」「焼きたてをすぐに提供する」という短い流通が根付いている。

御坊・日高地方には、白キスを主役にした料理を提供する飲食店が点在している。観光客向けに派手に打ち出す店もあれば、近所の常連で連日賑わう店もある。いずれの店にも共通しているのは、海と漁師の営みを尊重し、届いた魚を丁寧に扱う姿勢である。今回は、その中から雰囲気や得意分野が異なる5軒を厳選して紹介したい。白キスを軸にした御坊の食文化に触れるための足掛かりになれば幸いだ。

一尾まるごと、漁師の朝と老舗の焼き台

御坊市内を流れる日高川河口に近い一画に、昭和の時代から地域に親しまれてきた割烹・小料理店がある。看板に掲げられた「本日の一尾」を頼めば、炭火で焼き上げられた白キスの姿がそのまま運ばれてくる。提供されるのは、灰が薄くかかる程度にじっくり焼き上げた塩焼きの姿焼きで、皮は香ばしく、身は箸を入れただけでほろりとほぐれる。

この店の白キスは、毎朝港に水揚げされたものを店主自らが選別している。朝5時過ぎに市場へ足を運び、大きさや身の締まり具合を目で確認し、納得したものだけを仕入れる。昼前に客席へ届くまでのあいだも、氷と新聞紙だけで温度を保ち、脱水を防いでいる。こうした地道な工程を経るからこそ、焼いたときに皮と身のあいだに旨味が閉じ込められる。河口周辺で漁を生業としてきた歴史的背景については、日高川流域の伝統として詳しく触れられている。

人気の一品は「白キス姿焼き」。添えられた大根おろしと自家製ポン酢、あるいは少しの醤油を垂らして食べる。骨までやわらかく食べられるように二百度近い遠火でじっくり火を入れるため、頭から尾まで余すところなく味わえる。付け合わせの季節の焼き野菜は、地元の契約農家が持ち込むものを中心に組み合わせている。カウンター席に座れば、焼き上がる白キスの脂が炭に落ちて立ち上る香ばしい煙、店主が魚を返す一瞬の所作。そのすべてが料理の一部として提供される。

酢の香りに包まれる、白い身を握りに生かす

御坊駅からほど近い商店街の一角に、白木を基調とした静かな佇まいの寿司店がある。店主は京都と大阪の料亭で修業を重ね、平成の半ばに地元に帰って店を開いた。白キスを握りで出す際、握りたての酢飯と魚の組み合わせを「温度・水分・時間」の三要素から組み立てている。

提供されるのは、まず握りの一貫「白キス」。酢を控えめにしたしゃり、シャリよりも一段高めに切った白キスの切り身を、ネタケースの中で人肌に近い温度に戻す。そして握る直前にもう一度だけ布巾で表面の水分を拭取る。このひと手間が、淡白な白キスの身に艶を与え、口に入れたときにふわっと広がる香りを生む。添えられるのは、自家製の煮切り醤油と少量の岩塩、好みでわさびを選ぶ。

ランチタイムには「白キスづくし」が人気を集める。握り三貫に、小丼、白キスの昆布〆、椀物がついた構成。昆布〆は、白キスの身に薄く切り出した昆布を巻き、半日寝かせたもの。旨味が昆布に移り、魚の側はすっきりとした甘みに変化する。椀には白キスのアラを使い、丁寧にとった出汁と合わせている。店内はカウンター八席と小上がりが二卓、店主は「白キスは食べた瞬間にわかる魚」と語る。寿司という形式で白キスの持ち味を丁寧に表現したい人に、適した一軒だろう。

衣の中で踊り出す、揚げたての白キス

御坊市の南部、国道42号線沿いにある天ぷら専門店は、白キスの天ぷらを看板に据える。昼の定食と夜のコースがあり、予約をすれば白キスの天ぷらを目の前で揚げる「カウンター天ぷら」を楽しめる。衣の具合、油の温度、揚げる時間を、常時見極めながら調理するのがこの店の流儀だ。

主役の白キスは、二度揚げではなく一度揚げで仕上げる。下味として軽く塩を振り、余分な水分をペーパーで押さえてから、薄めの衣をつける。油温度は百七十度前後に保ち、白キスの内側に火が通りつつ衣が軽く膨らむ瞬間を見計らって引き上げる。提供時には、軽く天つゆにくぐらせ、塩で食べる二択を勧めてくれる。

別の一品は「白キスと夏野菜の天丼」。白キスの天ぷらの下に敷き詰められるのは、地元農家の茄子、万願寺唐辛子、ズッキーニなどの夏野菜。合わせるタレは、醤油、みりん、出汁を独自の配合で割り出したもので、白キスの淡白な味に甘辛い陰影を添える。夜のコースでは、白キスの天ぷらに加えて白身魚の造りや焼き物、そして締めとして天茶漬けが用意される。静かな空間で揚げたての天ぷらを心ゆくまで味わいたい人に向く一軒である。

出汁を引く、そのひと手間で味が変わる

御坊市内を縦貫する旧街道沿いに、暖簾をくぐると木の香りが漂う和食処がある。築百年近い古民家を改装した建物で、座敷と小上がりが中心の落ち着いた空間が広がる。この店で白キスを語るうえで外せないのが「吸い地」の存在である。

「吸い地」とは、白キスのアラから丁寧にとった上澄みの出汁のこと。アラを一度霜降りにして臭みを取り、昆布と削り節で静かに煮出す。一時間近くかけて仕上げた吸い地は、透明でありながら白キスの持ち味を高める力が強い。料理では、白キスの吸い物、白キスと季節野菜の焚合せ、白キスの蕪蒸しなどに応用される。

人気の一品は「白キスの吸い物」。椀の蓋を開ければ、白キスの切り身、薄い針生姜、三つ葉が静かに揺れる。出汁は口当たりがやわらかく、白キスの身は箸で軽く触れるだけでほぐれる。冬の時期には白キスの身を軽く焼いてから椀に落とす「焼き吸い」も提供され、こちらは香ばしさが加わる。店主は「白キスは素材の味が出汁で決まる」と言い、滋味深い日本の味付けで白キスを体験したい人にとって最良の選択肢となるだろう。

ソースの滋味と和洋の枠を越える

御坊市内で近年人気を集めているのが、国道沿いにある洋食ビストロだ。白キスをフレンチやイタリアンの技法で仕立てる独自性が支持を集めている。カウンター六席とテーブル席を備えた店内は、白を基調にした明るく開放的な空間で、デートや家族の記念日にも利用される。

この店のシグネチャーは「白キスのポワレ 柚子香るソース」。白キスの切り身に軽く塩を振り、皮目をカリッと焼いてから低温で火を通す。皿に添えるのは、白ワインとバター、柚子の皮を合わせたソース。淡白な白キスの身にバターのコクと柚子の香りが重なり、和食とはひと味違う表情を見せる。付け合わせには地元のベビーリーフと、軽くソテーした帆立を使う。

別の人気は「白キスのマリネ サラダ仕立て」。白キスの切り身を薄く開き、オリーブオイル、白ワインビネガー、塩、レモンでマリネする。十数分置いたあと、皿に広げて地元野菜のサラダと合わせる。マリネにより白キスの身が適度に締まり、食感と酸味のバランスが楽しめる。ランチには「白キスのパスタ」も二種用意され、いずれも白キスの身をパスタの仕上がり直前に合わせる。店主は「和食だけの魚にしたくない」と言い、地域の食文化に新しい選択肢を加えている。

地元・御坊の食文化をさらに知りたい人は、御坊の地域情報をチェックするのが近道だ。地域イベントの告知や新店舗の情報は同サイトに随時更新されているほか、白キスの旬が到来する前に地域紙を手に取ることで、より深く御坊の食文化に触れることができるだろう。白キスを味わう旅を、御坊から始めてみてほしい。

「毎週金曜の更新で、地域の行事や行政の動きを分かりやすく伝えてくれます」

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