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和歌山工業高等専門学校創立50周年記念式典(11月29日、県民文化会館)

[2014年12月19日掲載]


独立行政法人国立専門学校機構
和歌山工業高等専門学校
校長 堀江振一郎
本日ここに、国・地方の政界・行政界、大学・高専・小中高等学校教育界、県内各地の商工産業はじめ各界から、誠に多数のご来賓の方々の列席を賜り、かくも盛大に記念式典を執り行うことができました。これは、独立行政法人 国立高等専門学校機構 和歌山工業高等専門学校の教職員、859名の現役学生、本校後援会・同窓会の会員など、和歌山高専関係者一同の大きな喜びであり、ご臨席くださった皆さま方に対し、心から御礼申し上げます。

和歌山県の中南部にある御坊市に設立された和歌山高専は、50年の間に6340名の学生が卒業しています。工学を学んだエンジニア、技術のわかる社会人として、地元和歌山県のみならず、京阪神・中京・京浜などの都市工業地域や、さらには、世界各国にある日本企業の進出先で、ひとりひとりが努力を続け、活躍の機会を得ることで、卒業生の多くは幸せな生活を送っていると考えます。

日本の近代教育史の草創期、明治政府は学生発布に当たり、第一に「学問は身を立つるの財本」と、教育はまず自分の為にあるとの原則を示し、第二に教育の基本を、職業技術を始めとした「実学」教育に据え、第三に「邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の者なし」の国民皆学を制度目標としました。実学を通して都市・農村を問わず全ての国民の立身出世を実現し、世界の近代産業社会に仲間入りしようとした明治新政府の明快で骨太の政策と、過去50年の和歌山高専の歩みの基盤にある実学教育の哲学には、相通じるものを感じます。

第二次大戦後の教育改革では、学校制度は6、3、3、4制の単線型に改められました。さらに約15年を経た1962年に高等専門学校が加わり、義務教育を終えた後に5年制の技術者養成を接続した新たな6、3、5制を加えた複線型の学校制度が始まりました。和歌山高専の創設された1964年は、東海道新幹線が開業し、東京オリンピックが開催された年で、日本の高度経済成長の起点に当たるような年と言えます。急激な右肩上がりの経済成長を支える実践的で専門知識を持つ二十歳の技術者として、本校第一期卒業生は1969年3月に学舎を巣立っています。

50年の間の動きを概観すると、本校の第8期生が卒業した1976年から、豊橋と長岡の技術科学大学が高専卒業生進学の基幹大学として創設され、他の国公立大学の工学部などの第3学年編入と合わせ、卒業生の進学機会がぐっと広がりました。第34期生が出た2002年には、和歌山高専内に専攻科メカトロニクス工学専攻と同エコシステム工学専攻が新設され、地元専攻科での学士号の取得への道ができました。また、学校の運営機構が、2004年に、独立行政法人 国立高等専門学校機構による全国の国立高専当時55校の運営に変わりました。

地域と共に歩む和歌山高専では、地域産業界の動向や要請を組み入れた特色ある地域貢献をめざして、1995年に総合技術教育研究センターを新設し、さらに8年後に現在の地域共同テクノセンターとしての運営に移行しています。また、国際交流については、1988年から留学生の受け入れを開始し、これまでに67名を受け入れてまいりました。2004年度からは、中国上海電機学院との短期留学生交流で毎年双方向の往復を続けており、和歌山県内でも特色ある国際活動として、その継続が評価されています。また、2008年に開設したロボット教育センターは、地元で12月に開かれる「きのくにロボットフェスティバル」の運営に重要な役割を果たすとともに、これまで3度の全国準優勝を誇るNHK高専ロボコンのロボット製作支援も行っています。

和歌山県御坊市の人口2万5000人は、全国の工業系の高専、国公私立57校・キャンパスの所在する市区の中で最少です。しかし、学生は広く県内一円、さらに県境を越えて大阪府、奈良県、三重県からも入学していますし、四学科の入学定員に対して、現在でも1・6倍の志願者の中から、優秀な入学者を選抜できています。和歌山県では、県庁のある和歌山市や大阪府隣接地域に教育機関が偏って存在する中で、60キロ南の御坊市に国立高専を設置し、高等教育の学習機会を少しでも広汎に、県下あまねく保障しようとした国策は、50年の時代を経ても高く評価すべきと考えます。また、10万平方メートルのキャンパスは、東は歴史ある熊野古道紀伊路に面し、西は紀伊水道の岸辺に沿っていますが、防災上も大変安全な標高10数㍍の堅い岩盤の高台を、校地として準備下さった県や市の関係者にも、大きな恩義を感じます。過去半世紀の教育研究活動を通じて、この地域の振興にどこまで和歌山高専が貢献できたか、今回の記念事業でとりまとめた50周年記念誌を通じで検証できればと考えます。

この50年の間、幸いにも高専教育に対する社会の評価は高く、卒業生の進路については、常に10倍を超える高い求人倍率のもと、就職希望者のほぼ全員の就職が実現するとともに、進学者もその多くが本校専攻科や恵まれた研究環境のある国公立の大学に進学できています。創立50周年の里程に立って、創造的で実践的な技術者の養成という教育目標の下、学校の主役である学生が、次の時代の技術を担い、国際的にも大きな活躍ができる力を身に付けられるよう、次の50年の歩みを間違いのない方向へ進めていきたいと考えます。

結びに、本日ご列席いただきました皆さまを始め、50周年記念事業のために、物心両面で学校をご支援下さった多くの方々に心から御礼申し上げ、次の50年に向けて倍旧の学校へのご協力をお願いします。また、この場を借りまして、50年の間に学校の教育・研究にあたってこられた歴代校長、名誉教授を始め多くの元教員、事務・技術の旧職員の学校運営への貢献と、高専機構本部の指導、記念事業実行委員会に参画下さった後援会、同窓会の皆さま及び現役教職員の努力に、校長として謝意を表して式辞を結びます。

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